厚生労働省が令和6年8月に発表した「労働経済動向調査」によれば、日本の企業の約8割が人手不足だそうです。人手不足が続く中、企業は労働条件の改善のためにどのような取り組みを行っているのでしょうか。調査結果から読み解いた上位9つの対策と今後の傾向などをご紹介します。
1.正社員採用と登用の強化
- 正社員の増加:過去1年間、約6割の企業が正社員採用や非正社員の正社員登用に注力しました。これは、安定した雇用形態を提供することで、従業員の定着率を高める目的があると考えられます。
- 今後:今後1年間も60%の企業がこの対策を重視する予定です。
2.在職者の労働条件改善(賃金面)
- 賃金アップ:約55%の企業が賃金改善に取り組んでいます。賃金アップは従業員満足度の向上に直接つながり、退職防止にも有効です。
- 今後:ただし、今後は賃金改善に取り組む企業の割合が48%に減少すると見込まれています。限られた経営資源の中での賃金引き上げは難しく、他の対策との組み合わせが重要となるでしょう。
3.臨時雇用・パートタイムの増加
- 柔軟な雇用:人手不足を解消するため、40%の企業がパートタイムや臨時雇用の拡充を図っています。これにより、ピーク時の人員を確保しつつ、コストを抑えられる利点があります。
- 今後:今後も同様の対策が41%の企業で行われる見込みです。
4.派遣社員の活用
- 即戦力の確保:38%の企業が派遣社員の活用を行っています。この対策は特に短期的な人材ニーズに対応しやすい点が評価されています。
5.求人条件の緩和
- 求職者層の拡大:求職条件(賃金、学歴、必要資格など)の緩和により、応募者の裾野を広げる企業も多いです。36%の企業がこの対応を行っており、少しでも多くの求職者に興味を持ってもらいやすくしています。
6.離転職防止策の強化
- 従業員の定着:労務管理や福利厚生の改善により、退職を防ぐ施策に取り組む企業も増えています。また、再雇用制度や定年延長といった長期的な雇用安定も重要です。
7.非賃金面での労働条件改善
- 働きやすい環境作り:育児支援や休暇取得促進など、働きやすい環境づくりにも注目が集まっています。31%の企業が、賃金面以外での労働条件改善を図り、従業員の健康とワークライフバランスの向上に努めています。
8.配置転換・出向者の受け入れ
- 人材の流動化:25%の企業が配置転換や出向者の受け入れを活用し、企業間での人材の融通を図っています。
9.省力化投資による生産性向上
- 効率化投資:省力化機器や外注化により、生産性を上げる企業もあります。効率化は人手不足を補う一つの方法であり、特に製造業などでの導入が進んでいます。
まとめ
人手不足は長期的な課題であり、多様な対策が求められます。労働条件の改善や雇用形態の柔軟性、また生産性の向上といった対策を適切に組み合わせ、貴社に最適な人手不足解消の方法を見つけましょう。